風薫る5月の京都。
鴨川には風物詩の納涼床開きが行われ、そして、葵祭りをはじめ、多くのお祭りが行われます。今年は久々に例年通りのお祭り、王朝絵巻さながら、華やかに京の町をいろどります。
いにしえの京の都にタイムスリップしたような京のお祭り。
王朝絵巻さながらのその格式ある風景をつくりあげるのは繋ぎ伝わってきた
様々な伝統工芸の技です。
いにしえの雅な空間を今に伝える伝統の技
その中のひとつが差し掛け傘。祭典傘とも呼ばれます。
その名の通り、基本は自分で持つのではなく誰かに差し掛ける目的で作られており、
長い柄が特徴です。
雨除け、日除けとして使用されるだけでなく、和傘を差しかける人物が神聖な存在であり高貴な身分であることを表す道具としても使われてきました。
今宮神社のお祭りでは、八乙女さんを差し掛け傘が守ってくれていました。
大陸から日本に傘が到来したのは奈良時代のこと。当時の傘は魔除けや宗教行事に使われる神聖なものであり、従者が高貴な人に差し掛けていた様子が古い絵画や時代劇などでご覧になられたことあるのではないでしょうか。
行事の主役に敬意を表して
そんな歴史を受け継ぐ差し掛け傘は、今でも寺社仏閣の行事を司る神主や僧侶、あるいは和装に身を包んだ花嫁のために差し掛けられることが多いものです。
ボリュームのある装束に身を包んだ神主や、大柄な力士が、自分の手で持って差すこともあります。
そっと差し掛けるその傘。和紙と竹を使い職人の手からうまれるその傘には
伝統と機能美、そして、人へのあたたかな思いやりが感じられます
今も昔も変わらぬ伝統の技からうまれる差し掛け傘。
季節のお祭りの中に、日本の伝統美を探してみてはいかがでしょうか?