京扇子でひらく、京都の香りと情景|大西常商店・大西 久雄〈京扇子〉
京扇子の老舗・大西常商店
大西常商店は、京都・建仁寺にて江戸から明治期にかけて元結製造所として創業した老舗です。元結とは日本髪を結う際に用いる和紙製の髪留め具で、かつての日本女性の暮らしに欠かせない存在でした。しかし時代の移ろいとともに日本髪文化が衰退し、洋装が広まる中で需要は減少。大西家はこれを機に扇子製造へと事業を転換し、それ以来百年以上にわたり、扇子の製造から販売までを一貫して手掛けてこられました。寺社仏閣や将棋界の先生方など、品質を重んじるお客様との信頼あるお取引は今も続いています。

「扇子をつくる会社」から「風をうむ会社」へ
扇子は平安時代に誕生し、能や舞など日本文化の中で育まれた伝統工芸品です。大西常商店では、単に扇子をつくるだけでなく、その背後にある文化や美意識を次世代に伝えることを使命としています。まさに、「文化の風をうむ」会社です。

伝統と革新の「ルームフレグランス かざ」
私が大西常商店さんと出会ったのは、京都商工会議所主催の「あたらしきもの京都」プロジェクトがきっかけでした。プロジェクトでは、当時の若女将・大西 里枝さんを中心に、デザイナーやプロデューサーと共に取り組み、革新的な商品「ルームフレグランス かざ」を生み出しました。

この商品は、薄く削った竹骨の扇子を清水焼の器に立て、アロマオイルを吸い上げることで、扇面から香りをやわらかく広げる仕組みです。

従来、夏の暑さを和らげるための道具であった扇子が、季節を問わず香りを楽しむインテリアへと進化しました。「かざ」とは京言葉で「香り」を意味し、目でも香りでも楽しめる新しい扇子体験をお届けします。
職人の手仕事による丁寧な扇骨づくりと、香りの演出。大西常商店の扇子には、伝統と革新が美しく融合しています。日々の暮らしの中で、京扇子ならではの風と香りのあるひとときをお楽しみください。



















